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後見

介護していても、親の財産は他人の財産

介護していても、親の財産は、法的には他人の財産です。親が、お金に関することについて、適切な判断ができる状態であれば、親の意思に基づき、子が親の財産を管理することには問題はありません。

親の意思に基づかない財産管理は違法です

介護している子が,高齢者である親の財産を不当に処分し,あるいは,不当に財産上の利益を得るのであれば,高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(高齢者虐待防止法)上の「経済的虐待」に該当し刑罰法規に該当することもあります。

親の判断能力が低下してきたら・・・

介護している子が、適切に親の財産を管理していたとしても、親の判断能力が低下してきた場合には、成年後見制度の利用を検討しなければならないことになります。

成年後見制度には、大きく分けると、法定後見制度と任意後見制度の二種類があります。
法定後見制度には、本人の判断能力の程度に応じて、次の三種類があります。

● 後見

→ 認知症などの精神上の障害により,判断能力を欠く常況にある場合
財産管理を誰かに代わってやってもらわなければならない場合。

● 保佐

→ 精神上の障害により判断能力が著しく不十分と認められる場合
財産を管理することについては常に誰かに援助してもらうことが必要な(援助してもらえばできる)場合

● 補助

→ 精神上の障害により判断能力が不十分と認められる場合
財産の管理について大体は自分でできるが,難しいことになると援助が必要だという場合


任意後見制度とは、本人が判断能力ある時期に、判断能力が低下したときの財産管理を委ねる人との間で、任意後見契約を締結し、判断能力が低下した時点で、家庭裁判所に、その人を任意後見人として選任してもらい、以後、任意後見監督人が任意後見人の財産管理を監視する制度です。法定後見制度と異なり、本人が、財産管理の方法を決めることができる点が特色です。

後見人として弁護士を立てたほうがよい場合

介護している子が、認知症となった親の成年後見人となることは、通常、望ましいと考えられます。 しかし、親の預貯金を無断で使い込んだり、あるいは、不動産を勝手に売却したりするなど違法な財産管理が行われている場合、あるいはそのおそれがある場合、その子は成年後見制度の利用など考えてはいませんし、他の子が成年後見人になろうとすることを阻止しようとしてきます。このような場合には、成年後見人に弁護士を立てる必要があります。

また、介護している子が適切に親の財産を管理していたとしても、他の子が財産管理について不満を述べ、介入しようとしてくる場合には、後見人に弁護士を立てたほうが,紛争を予防でき、また、後々の相続で揉める可能性が少なくなります。この場合、親の判断能力がしっかりしている時期に、親と介護している子との間で、その子を任意後見人とする、任意後見契約を締結し、任意後見監督人にその子の財産管理を監視してもらってもよいでしょう。

これとは別に、認知症となった親が相続を受け、他の相続人との間で、遺産分割協議が必要な場合には、成年後見人として弁護士を立てる必要があります。

高齢となった親あるいは自分自身の将来の財産管理をどのようにすべきか、弁護士に相談してはいかがでしょうか。


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